美味しいお食事を取ることは、私にとって最も大切な時間です。 大好きな仲間達と一緒に楽しく過ごすひととき。 私は今そんな時間をとても大切にしています。

小さい頃は好き嫌いが多くて、何しろ一番好きなものは、お新香にお茶漬け。今では日本酒、老酒、ワイン等の食べ物にあったお酒。 特に度々スペインに行くようになってからは、何でも食べられるようになりました。

今でも忘れられない味は、友達に誘われマドリッドの裏町のバル街に連れて行ってもらった時の事。カウンター一杯に海の幸、串に刺したお肉、煮込み、ソーセージ等が並び、欲しいものをその場で料理してくれる。

中でもお気に入りは、生しいたけの中に生ハムとニンニクを刻んで入れ、鉄板の上でジュウジュウと焼いてくれる「シャンピニオン・プランチャ」。その焼けた匂いが何ともいえず、一寸焦げ目のアツアツを赤ワインを飲みながら――。すっかり病みつきになってしまいました。

それからというもの、だんだんと色々なものが好きになり、とうとう羊の肉にも挑戦しました。この美味しさといったら、今までどうして食べなかったのかと悔やまれるほどでした。

あっという間に2年間の留学生活も過ぎ、その間に今まで食べてきた全ての量より多い程の油分を吸収してしまい、日本に帰ったときには顔中に吹き出物。お友達にもびっくりされてしまって、しばし人前に出られないほどひどい顔になっていました。

あれから40年。最近では又昔に戻ったようで、お新香に白いご飯。やっぱり日本人なんですネ。

でも忙しい毎日の中、ただお腹をくちくするだけのお食事が続いてしまうと、なにか胃が汚れてしまうような気がして、良い踊りも踊れない、良い振りも浮かばない。ですからどんなに仕事が重なっても、お食事だけはゆっくりを心がけています。

美味しいものは私の芸の源です。


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