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私が住む粟国島では昔から自然の中に薬草が豊富にあり、風邪・怪我・打ち身にとどまらず、あらゆる症状に役立てていました。

島のいたるところに生えているカバサー(長命草)は高血圧・リウマチに効果があるといわれ、チャンカニー(モクビャク)は糖尿病、イーチョウハー(ウイキョー)は胃薬代わりになり、魚汁などの薬味として使用されています。以前、巣から落ちて死にそうな小鳥をヨモギのベッドに寝かせると、それだけで回復したこともありました。

自然界には未知の力が沢山あるのでしょう。島で暮らしていると自然のやさしさ、大切さがよく分かります。海のもの、陸のものをバランスよく摂ることの大切さも知りました。
昨今、世界的な健康ブームで、健康維持のためのサプリメントが大量に出回っています。手軽なこともあり、多くの方が健康維持のために色々なサプリメントを摂っていますが、私は今日のサプリメントブームは行き過ぎではないかと考えています。

例えばビタミンのサプリメントは合成で、天然のものはほとんどありません。体の何々に良いと聞くとそればかりを摂ることがありますが、かえって体に負担になることがあります。混ぜ物や不自然な製法によって作られた塩もいろいろな弊害を起こします。

製造者も良心を忘れ、ただ売れば良いというのでは、品質の向上はありません。ものを作る人は、それが何のためにあり、そしてそれが人を幸せにするかどうかを考えることが基本だと思います。
最近、テレビでエイズの特効薬が作られたと知りました。しかしその薬は原価がほとんどかからないにもかかわらず、驚くほど高価です。確かに研究費など、開発にかなりの経費がかかっているのでしょうが、それでは貧しい国のエイズ患者は救えません。その薬が誰のために作られたのか、大きな疑問を抱かずにはいられません。

今年十一月にアメリカ・ラスベガスで開催される「国際貿易展示会議」に、私が作る「粟國の塩」の出展依頼を頂きました。この会議は世界中から七百社の優れた商品・医薬品・健康食品を展示紹介し、それらを利用して世界中の人々の健康のための新商品開発につなげようという会議です。

三十数年前「すべての人に良い塩を」という考えから始まった私の塩の研究が、多くの人の健康に役立つ新たな一歩になれば幸だと考えています。そのためにも、この会議を自らの初心を確認する機会にしたいと思っています。

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