コメディアンのジャック・レモン(フェリックス)とウォルター・マッソー(オスカー)のコンビは、見るたびに笑って笑って、人生のすばらしさを感じる映画で、彼らの「おかしな二人」("Odd Couple")は、シニア独身男のまったく対照的なキャラクターが見所だ。オスカーはおおざっぱ、フェリックスはこまかく気がつく。友達がポーカーに興じるテーブルに、オスカーが出すサンドゥィッチは、冷蔵庫からいい加減に取り出してパンの間にはさんだ、緑色のと、茶色の二種類、いったいどんなパンに何をはさんだのやら。フェリックスはていねいに、男女シニアの間を廻って、「あ、このサンドゥィッチは冷えてる、トーストしてあげよう」「あなたのパイにはアイスクリームを載せよう」とお客ごとにきめ細かくて、みんなをよろこばせる。
ミステリーのシリーズものの「ウェクスフォード警部」で面白かったのが、彼が自宅のキッチンで、出された料理を手つかずに席を立つと、娘がお皿をとって、流しの下の戸棚を開け、ゴミバケツにポイ、と捨てる場面。日本だったら、とっておくだろうに。
何度もでてきて、習慣のちがいかな、とふしぎに思うのは、卵を割る場面だ。私たちは、卵の殻は、たいてい流しにポンと捨てる。アメリカ映画では、卵を割る役がたまたま友達だと「殻はどこに?」と家人に訊く。「戸棚の中よ」と言われて、カウンターの上の高い戸棚を開けて、殻をそこの何かに入れる様子を、最近続けて二度見ている。殻専用のボウルでもあるみたいだ。ディスポーザーに投げこむならわかるけど、これは流しに設置されているから、戸棚に入れるはずがない。卵のパックに戻すシーンを見たこともある。フシギですね。
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