No.220





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●植物系の食材といえば、寒い季節は〈葉もの〉や〈根菜〉が中心であった。そして、自らの手で採取して食べる、いわゆる〈山菜〉の時季もアッという間に通り過ぎてしまった。今は茄子科や瓜科の〈果菜〉や豆の仲間たちを堪能する季節である。茄子や赤茄子は生まれながらにして好きであったし、
茄子科唐辛子属の甘味種(ピーマンやシシトウ)も、初見参の時から好きになった。中身がからっぽのところが儂の文章と同じで、妙に親近感を覚えるのだ。だが、いい加減歳を食ってから出会うことになる赤や黄や橙色をした(はたまた黒いやつまで)でか・ぴーまんには、思わずちょっと退いてしまった。その色と形が儂の想像力を越えていたから、「貴様ら何者じゃ!」と狼狽えたのである。しかし、一度それを口にすると儂は忽ちその擒になってしまった。明るく、甘くて、乙女のように愉しい。

▲相変わらず不規則な生活を続けている儂は、変な時間帯に、たとえばイタリア式の饂飩などを作って、仮の腹を満たしたりする。単にパルミジャーノ・レッジャーノをバサバサ振りかけただけのもの、あるいは大蒜・唐辛子風味のオリーブ油を絡めただけのものを、葡萄酒のグラスを片手に作り、かつ食べる。和式の〈せいろ蕎麦〉と同じ感覚である。それにもう一つ――カラフルなでか・ぴーまんを焙って細く裂きトッピングしただけのものも十八番だ。でか・ぴーまんはある程度の量を一度に処理して油漬けにしておくと便利です。ハウスものではなく、夏の光を存分に浴びた露地ものが手に入れば嬉しいですねえ。普通のピーマンの赤熟したものは、カロテンが緑色の二百倍近いというから、こちらも是非に――。

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