No.221





.
.

●オクラ(またの名をガンボ)って奴は、小口切りにした時の☆形がなんとも愛らしい。☆形の輪郭だけでなく、その内側に五個の種が行儀よく納まっているところが、なかなか繊細でよろしい。カロテンも多く、さらにペクチンやムチンといったぬるぬる要因が儂の体の弱点を補ってくれる点でもなかなかである。切り刻んだり擂りおろしたりして、削り節と梅肉などで和える〈青納豆〉や〈青とろろ〉は、夏の山における儂の定番メニューなのだ。下界で過ごす時は、それらを烏賊刺しに絡めたりして食す。

▲☆形やその外の刻み方、あるいは丸のままが入り乱れたフライドオクラ(?)をデパ地下で試食したことがある。見た目に愉しく食感も悪くなかった。しかし「高がオクラ、なんでそんな値段になるの……」と首を捻って買わずに帰った。そもそも〈乾きもの〉を買う習慣がない。山賊仲間に「酒類の友は乾きもの」と決め込んでいる奴が一人だけいる。その男に馳走してやろうと、後日その品を捜したのだが、再会はならなかった。いや、袋詰めにされた似たようなものを見掛けたことはあるが、それは安価なだけで見てくれも悪く、とても手をのばす気にはなれなかった。

■生のオクラは通年店頭に見るが、儂が口にするのは暑い季節だけだ。前述のぬるぬる食いの外に、片栗粉の上を転がしてから油でサッと揚げたものや、糠床に突き差して一晩漬けたもの(これはTVで見て覚えた)を食べる。ところでオクラ畑を見たことがありますか? 枝にぶら下がって生えると思っていたが違うそうだ。木槿に似た形の黄色い花の後、あの若莢はニョキッとぶら上がって生えるらしい。

.

Copyright (C) 2002-2005 idea.co. All rights reserved.