東京で行かなくなっていたのが、永田町のキャピトル東急(以前のヒルトン)だ。父親とのサンデー・ランチョンが続いていた頃は、オークラかヒルトンのお昼だった。コーヒーショップ、オリガミのジャンボバーガーやパーコー麺をよく食べた。東京ヒルトンが新宿に移り、ここが東急系になるとウエイターも変わり、自然、足が遠のいた。
それでも名を引きついだオリガミはアメリカンな食べ物が特徴で、これだけは食べたいから、ときおり娘と足を運んでいた。アミにとっては子供時代からの味だ。
ところが! 十一月でホテル建て替えのため、営業をやめるという。それじゃやってる間に食べに行かなきゃ。建て替えるとホテルはキンキラになり、以前のよさをなくすのを、ずいぶん見てきた。メニュだって変わるかもしれない。
すぐ、ジャンボバーガーを食べに行った。コールスロウにはキャラウェイ・シードを入れてね、と昔のままを頼んだ。東京ヒルトン時代には、アメリカそのもので、ハンバーガーのバン(bun)は巨大で、ハンバーガーがはみ出るようにはさまり、トマトの厚いスライスと玉ネギがたっぷり。焼き方もレアといえばほんとのレア。私はミディアムレアをよく頼んだ。肉を注文どおりに焼けるのはアメリカ式のところ。日本のホテルは焼きすぎが多い。
ここにしかないお料理が魅力だ。イスラエル風のスモークド・サーモンのオープン・サンドウィッチは、黒パンが二枚、片方に山盛りのスモークドサーモン(ロックスという)、もう一枚はクリームチーズを盛り上げるように塗ってある。ユダヤ風のロックスは、ベーグル風のパンにはさんであった。
骨附き豚を揚げたパーコー麺は、たっぷりの薬味が惜しげなく出てくるので好き。あれのちょっぴりはほんとにいやだ。インドネシア風フライドライスは、なぜか男の子が好きだった。みんな、消えるまえに食べに行かなくちゃ。
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