カボチャで格闘していたら、またクロネコがやってきた。群馬のトウモロコシ。アミの知人の夏のハローだ。「キョーフ、トウモロコシ!」叫んだのは、すぐ食べなければ味が落ちるから。トウモロコシを煮立った大鍋に入れて蓋をし、火を止めて三分待つ間、どこに分けるか? アミとアタマをめぐらした。自然の味を楽しんでくれるひとでなくちゃ。
「オーシャンプレスのノリちゃんは? それとルヴァン、パン焼き窯もあるし」
「それ、それ! ノリちゃんはセンスいいから、おいしく楽しんでくれるわ」
茹だった熱いのを、私は黄色いトウモロコシ六本を型どった陶器のお皿に載せた。たぶんイタリーの品だ。夏と太陽を楽しむ国の陽気なデザイン。
「このまま、バターで食べよう!」
エシレの醗酵バターをたっぷりのせて、かぶりついた。ジューシイなとうもろこしとバターのとろとろ。あー、夏の味だ。
今年は、軽井沢でもトウモロコシを食べなかった。トウモロコシは浅間の裾の農村でたくさんとれるというのに。ゴミをクルマに載せて自分で捨てに行く軽井沢では、嵩高いゴミのでるものは食べられない! トウモロコシは、太い芯以外に緑の皮とヒゲのおまけつきだもの。
「むかし軽井沢で紫色の粒のまじったトウモロコシ食べたわね」アミが言った。
「しっかり固めで、おいしかったわ。この頃のって、少し甘すぎ、やわらかすぎるんじゃない?」
たしかに、いまトウモロコシはみんな同じ顔で、そろいの制服を着た兵隊みたいだ。「売れ筋」商品をそろえる力が、農業にも働くのかしら?
「丸梅の女将さんは、トウモロコシは蒸すって言ってたわね」少しおちつくとアミが言った。
「しかたないわ。私もそう思ったけど、手間がかかるから」と私。
やがて、オーシャンプレスからメイルがきた。
「トウモロコシおいしかったです。私は外皮つきで電子レンジで二分蒸しました」
なるほど! これなら水っぽくならない。のこった一本を皮のついたままチンしたら、とてもいい。電子レンジも使いようだ。
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