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今や日本食は世界で最も健康的で洗練された医食同源の食として、ロスの日本食レストランでも、健康志向の強い映画スターや世界中の食を知り尽くしたセレブ達で繁盛しているそうです。一方、本家の日本では多くの食材が外国からの輸入で、食糧の自給率が四〇%を切っています。そのためスーパーでは純日本産の食材を見つけるのが難しいのが現実です。せっかくの食文化も台無しです。


今日、沖縄は世界的な長寿の島として知られるようになりました。冬も温暖で一年を通し過ごしやすい沖縄ですが、反面土地が狭く耕作地が限られ、台風や干ばつにみまわれることも多く、そのたびに死者が出るほどの厳しい自然環境でもあります。
ちなみに、約五百年前の沖縄の人口は八万人にも満たなかったそうです。昔は、体調不良がすぐに死に繋がるほど医療体制も遅れていて、病気や怪我、伝染病を克服するには普段の食への工夫がとても重要でした。
季節季節に旬のものを食べるという、いたってシンプルなことですが、ここにこそ自然と人間の共生の知恵があったのです。
旬のものを沖縄では「クスイムン(薬になるもの)」とし、珍重していました。例えば、春には苦味の強い薬草、夏には体を冷やしてくれるゴーヤー、冬には体を温める根菜類がありました。
中でも地元で採れた自然海塩は、多くのミネラルを含んでいて、味付けの材料というより健康維持に欠かせない薬用としての位置づけで、古くから特に貴重なものでした。


沖縄の長寿の秘訣が豚肉を多く摂ることにあるように思われていますが、それは地理的に中国文化の影響が強かったために、豚肉を食していたのです。昔の沖縄では豚はとても貴重なもので、正月に一頭だけ解体してロース肉やばら肉だけでなく、すべての部分を残らず大切に食していました。ですから長寿の人たちが頻繁に豚を食べていたわけではありません。
長寿の秘訣は季節の野菜(薬草)、いわゆるクスイムンにあったのです。今でも年寄りは汁ものには必ず薬草を入れ、特に体調の悪いときはその症状にあった薬草を選んで入れます。
飽食の現在、人間の体は自然を失い、旬を忘れつつあるように思われます。食こそ健康な体を作るものです。この飽食の時代にこそ、バランスのとれた食生活を心がけて、病気にならない健康な体を作ることが大切ではないでしょうか。



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