近江展には大津の「比叡ゆば」(ゆば八)が出るので、これも楽しみの種。生湯葉も和風とは限らない。オリーヴオイルをかけ、ワサビを載せると別の顔を見せてくれる。この間はぜんぜん様子を変えて、「とろ湯葉」にヌニュス・デ・プラドのオリーヴオイルをかけ、ナッツをミックス(カボチャの種、スライスアーモンド、クルミ、松の実、ピーカンなど)し、極上の塩をぱらぱらかけて前菜に。こんな風変わり料理には器が肝心だ。伊志良光さんの赤絵の高坏を使った。
ニューヨークのレストランや日本のホテルが、和の材料を洋風に生かしているのは最近の傾向だけど、私もそれを見習った。普通なら田楽にする賀茂ナスのフランス料理だ。リーガロイヤル東京で出た一皿が、賀茂茄子にスズキとフォアグラをどんと載せ、きのこやにんじんを添えたソースですばらしくおいしい! シェフの米津春日さんにレセピを教わってチャレンジ。ソースが凝っていて、思ったように仕上がらず、四回やってまだダメ。
魚介類をオリーヴオイルで食べるスタイルにシフトしていくと、それは醤油味から遠くなることでもある。うちのお醤油は、長崎のチョーコーでとてもおいしく、和食にも洋の隠し味にも欠かせない。でも、高齢社会では醤油を控えなければならない人も多い。和のオリーヴオイル化は、そういう時代性にもあっている。
魚介類にオリーヴオイルがあうのは当然で、オリーヴの産地ギリシャやイタリーは海の国で魚介類の宝庫。産地の同じもの同士を合わせるのは、料理のイロハだ。タコやイカ、お刺身用のヒラマサやマグロは、うちではワサビ・醤油のお刺身でなく、オリーヴオイルやバルサミコ・ヴィネガーで、ベビーリーフやコリアンダーの葉たっぷりと合わせてカルパッチョ風にすることが多い。
中華も変身する。ギョウザの中身はきまっているけど、ある晩、アミが工夫をした。べビートマトがたっぷりあった。使わなくちゃ。閃いたのが、古くなりかけていたギョウザの皮。
ベビートマトは身がしまっているから、これを半分か四つにカット。ネギをきざみ、ハラペニョンピクルス少々もきざみ、ターキーグラウンドとミックス。ギョウザの皮で包んで茹でたら、トマトの赤が半透明の皮に透いて見える、やさしい姿の軽くてジューシィな水餃子になった。
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