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粟国島は小さな孤島で、昔は、食材、薬など他から入ってきませんし、医者もいませんでしたから、体調不良などが原因で重い病になることも少なくありませんでした。

島での暮らしは貧しく不便でしたが、それでも長寿の方が多いのは、日々の生活の中に健康に役立つ沢山の知恵があったからだと思います。

例えば、怪我には島に沢山ある植物の葉を焼き、それにご飯粒を混ぜ込み傷口に貼り付けると、殺菌され傷口がふさがりました。かさぶたにはカジュマルの樹液をつけると、かさぶたが早く取れました。風邪には、カバサー(長命草)を汁物に入れたり、黒糖にイーチョウバー(ウイキョウ)を漬け込んだもので咳止めにしました。発熱には、フーチバー(ヨモギ)を生のまますり潰し、その汁を飲んだり、ムカデ酒を飲んで熱さましとしました。

頭痛に一番効果があったのは、猫の脳みそといわれています。現在は食べることはありませんが、猫は薬効が高いと信じられて、ほとんどの病気の治療に使われていたそうです。

島で作られていたミネラル分の豊富な海塩も、島民には薬として様々に使われていました。

現在でも、民間医療に長けた島民は、島の自然の中から採った薬を上手に使っています。


今日、医療は急速に進歩したものの、昔には無かった新しい病気が多く発生しています。また、平均寿命は延びていますが、認知症や寝たきりの方も多く、福祉や介護の問題は、国家的な大問題となっています。食品についても、農薬や、防腐剤や、公害に汚染された食材の問題があります。

私は、この問題の解決には、食生活における自己管理が重要であると考えています。

それには、日々の生活において、健康を考えて食事を摂ることが大切です。沖縄では、自然のもの、旬のものをバランスよく、楽しく食べることをヌチグスイ(命の薬)といいます。また、昔から人をもてなす時に「これはクスイムン(薬になるもの)」といって食材として薬草をたくさん使った料理を出す習慣もあります。

情報化社会の今、どうしてもマスコミなど周りの意見に惑わされがちですが、自分の体にあった食品を選ぶ判断力を養うことも大切です。

塩に関しても、現在、表示や宣伝コピーにしっかりとした規制がなく、どれが本物のいい塩なのか判断することが難しい状況です。先ず試食をされて、美味しいと感じたものをお選びになるといいと思います。



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