No.247









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●前号の続きの栗談義である。「あっ、栗ね」っていう軽い感じ。かつては栗の実がこの国の主食だった…なんてことが、記憶の片隅にある人は少ないと思う。縄文の昔、ジメジメした照葉樹林が主役の西日本には殆ど人が住まず、温暖かつカラリとした気候で楢系樹林が繁茂する東日本に人口が(古代としては世界に類がないほどの密度で)集中していた。アク抜きに手間暇の掛かる橡の実やシダミ(楢系どんぐり)よりも、そのまま美味しく食べられる栗の実を主食にして、栄えていたのだ。ところが時代の後半に大切な栗の木が病虫害によって潰滅し、国家的危機に陥り、人口も1/4にまで減ってしまった。十九世紀にアイルランドで馬鈴薯がやられ、アメリカで栗がやられ、セイロンで珈琲がやられ、フランスなどで葡萄がやられたように…だが、それよりももっと深刻だった。その隙に、水田稲作技術(縄文の焼畑陸稲よりはるかに生産性が高い)をひっさげて西方の過疎地帯に渡来した人々が急激に増殖して、弥生文化を発展させた。弥生の終わり頃には縄文の最大人口の八倍強にまで膨れ上がったのである。まったく米の力は凄まじい。それはさておき、この季節には儂も一度は栗御飯を食べる。栗と米を混ぜて炊くと、これは縄文と弥生の合体…ナンチャッテ。栗がホックリというよりはなんだかゴソゴソとして居心地が悪い。儂はチャイナ風の炒めものにも栗を混入させてやる。それはそれとして遥か縄文の昔、栗を主食として(土木建築用材としても主役)、精神性も高いホントに“美しい国”営んでいたことを、レッズのアベちゃんや、ジャイアンツのアベちゃんや、ジミンのアベちゃんも、みんなみんなちゃんと覚えているかな?

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