37







わが国では“メタボ”という言葉がマスコミで様々取り上げられていますが、肥満で悩む米国では、日本食イコール健康食という図式が定着しつつあり、日本食レストランも一万店を超え、さらに増えているといいます。しかし、日本人経営の店は全体の二割ほどで、中には、日本食が何であるかという知識が乏しいまま、もっぱら利益だけを考える店も数多くあるのが実情だといいます。

そんな中、総領事館は本物の日本食を伝えるため「ジャパニーズ・フード・アンド・サケ・フェステバル」を今年三月、ロスのハイアット・リージェンシーで開催しました。

レセプションには約一千人の政府関係者、マスメディアが集う盛況ぶりで、デモンストレーションでは、全米レストラン専門誌でも常に最高得点を獲得している「Katuya」「Katana」「Kitayama」といった店の一流シェフが腕を振るい、日本食の美しさ、美味しさ、ヘルシーさを競い合い会場を魅了しました。そこで披露されたほとんどの料理に「粟国の塩」が使用され、さらにシェフ自らこの塩によって料理の質が上がることを称えてくれたのです。その場にいた私はとても驚き、また感激させられました。

健康に強い関心を持つアメリカ人は日本の食材にも大いに注目しています。ホールフーズなどの健康志向の強い店だけでなく、郊外のスーパーマーケットなどにも味噌・醤油・納豆・豆腐などが並びよく売れています。しかし、並んでいる食材の品質を見ると、ちょっと気になるような商品が出回っているのも実態で、この現状を危惧した日本食レストラン「Katuya」の上地勝也氏が本物の日本の食文化とその技術を教える調理学校を開校することになり、そのことがロサンゼルスタイムス紙に報じられて米メディアで大きな話題となっていました。

「粟国の塩」は来年三月に米国最大の医療・健康食品・オーガニック食品の祭典「ナチュラル・プロダクツ・エキスポ2009」(来場者五万人)への出展要請を本年に続き受けました。

日本では食の偽装問題など暗い話題が多い中、塩に関してもカリウムや炭酸マグネシウムを添加したものや、輸入原塩を混入しているものを自然塩と堂々と言い張っているというのが実情です。

ものづくりは、利益追求を考えたら本当にいいものは決して作ることができません。

私の塩作りの夢は、全世界の人にいい塩について分かってもらい、いい塩を使ってもらうことです。四年前イタリアで行われたスローフード世界大会にも出展し、講演しました。来年もまたアメリカで本物の塩について伝えることが出来るのは、私の夢を実現するために意義深いと考え、今からとても楽しみにしています。


.
.

Copyright (C) 2002-2008 idea.co. All rights reserved.