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今回は、調味料として使う塩に、料理などの味付け以外にもう一つ大切な働きがあることをお話ししたいと思います。それは塩に含まれているミネラルのことです。

塩に含まれるミネラルがなぜ大切なのでしょうか。人は、空気、水と同じように塩がなければ生きていけませんが、それは塩に含まれているミネラルが大切な栄養素の一つだからです。人は新しい空気を吸って、体内に酸素を取り込み、食べものを食べて栄養だけを吸収して残ったカスを便や尿や汗として体外に出しています。ミネラルには、この「新陳代謝」の働きを助ける役目があります。また、筋肉の収縮を助けたり、生まれてから休むことなく心臓を動かして続けているのもミネラルの働きです。血液や胃液の成分にもなります。ミネラルが不足すると、動脈硬化になったり、イライラしたり、貧血、味覚障害など様々な体調不良が起こります。

ミネラルは、野菜、魚、肉などにも含まれていますから、毎日の食べものから摂ることも出来ます。しかし、現代の野菜や肉には化学肥料の大量使用などでミネラルがとても少ないといわれています。インスタント食品も同じことが言えます。そのため、毎日食べる塩によるミネラルの補給も大切になります。

ミネラルには、もう一つ大切なことがあります。それはミネラルバランスということです。どんなミネラルでもたくさん摂ればいいということではありません。六十種類以上あるといわれるミネラルが体内にバランスよく存在することが大切です。例えば、カルシウムを摂ってもマグネシウムが足りないと、身体に吸収されないというように一種類ではうまく働くことが出来ないことがあります。お互いに助け合って効果がでるのがミネラルバランスです。目に見えない、ほんのわずかな量のミネラルでも、不足したり多すぎたりすると、体のバランスが崩れ病気の原因になったりします。

それでは、売られているすべての塩にバランスよくミネラルが含まれているのでしょうか。
残念ながらそうではありません。イオン交換膜法で作られた精製塩や、岩塩などにはミネラルが殆ど含まれていませんし、ミネラル成分を添加したものまであります。さらに、海外から輸入された原塩を混ぜているものはミネラルバランスが不安定です。減塩のために低納塩といわれるものはカリウムが多く含まれていて、摂り過ぎると危険だとさえいわれています。

製品の表示法が確立されていない現在、良い塩を選ぶのは簡単ではありませんが、海水から自然に作られたミネラルバランスの良い塩をお使いになることをお勧めします。ミネラルバランスの良い塩が身体に良く、美味しい塩です。塩の味はその塩に含まれるミネラルの味だからです。


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