45






健康で長寿を全うすることは、万人の願うところです。しかし、健康な人ほど、普段の生活では自分の身体を過信していて、健康を損なってから、はじめて健康の大切さに気付くものです。
私は子供の頃体が弱く、そのため学校も休みがちでした。青年期にも体調不良が続いていましたので、体質改善のためにヨガの道場に通っていました。そこで、「食養」(マクロビデオティック)と出会い、実践を始めたのです。この食養は、自然との調和を食の観点から捉え、陰陽の原理を取り入れた穀菜食中心の食生活を実践することによる長寿法です。簡単に言えば“正しい生活と食事から健康を維持し、体質改善をすることを目指す”というもので、それは、自然の恵みをそのまま摂り入れるという、日本人が古来から大切にしてきた食事法でもあります。
私がはじめて塩が健康のために大切であるということを知ったのも、この食養と言う考えからでした。食養では、ミネラル分を含んだ塩で料理することを勧めていました。それは、塩に含まれているミネラル(にがり)が健康と深い関係にあるからです。ミネラルは生命活動に不可欠な栄養素ですが、身体の中で形成することが難しく、食品や塩から補給しなければなりません。中でもにがりの主成分のマグネシウムが不足すると呼吸、神経、筋肉の活動に支障をきたします。塩に含まれるマグネシウムは、ほんの微量ですが、塩は毎日料理に使うものですから意識せずに摂取できるメリットがあります。
最近では、これらのミネラル分を、サプリメントという方法で摂取する傾向にありますが、安易にサプリメントに頼るとミネラルバランスが偏りがちになり、本来人間が持っている健康のバランスを整える能力が低下し、自然治癒力も低下する恐れがあります。栄養は、出来る限り自然の恵みから摂るのが理想的なのです。
腹八分目といいますが、食べすぎに注意することも食養の考え方の一つです。今流行のメタボ≠フ主な原因は食べすぎ、栄養分の摂りすぎです。食べ過ぎると、脳や内臓が過剰反応して、栄養吸収の際に中枢機能がバランスを崩して自然治癒力を低下させてしまう可能性があります。
このように人間は天地創造の神より与えられた自然治癒力という素晴らしい能力をどんどん低下させてしまっているのです。本来持っている自然治癒力を高め、甦らせることこそ、もっとも日本人が得意としていた基本的な健康法だと思います。
この日本生まれの食養は、マドンナ、トム・クルーズ、マイケル・ジャクソンなど有名人も実践していて、アメリカでも広まりつつあるようです。


.
.

Copyright (C) 2002-2009 idea.co. All rights reserved.