No.274








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●百八つ目の鐘が鳴った時に…いや最初の一発目・二発目を聞いて、儂は「あっ、年が明けちゃった…」と思う。何だか照れ臭いけどアケオメである。まだ暗いうちからの寺社詣で、あるいは地平水平の彼方から太陽がキラリ…という一瞬に新年を感じる人もいるだろう。日が昇りきっちゃってから起き出して…という人だっているに違いない。何れにしても(何だか分からないけど)正月はメデタイ。午前〇時を期して新しい一日が始まることに何の疑いも抱かずに生きてきたが、昔は(必ずしも)そうとは限らなかったそうな。日没こそ一日の始まり…という説だってある。日没と共に一同が集い、お籠りして元旦を迎える―― これが五穀の神様やご先祖様を祀るホントの正月の儀式かも。お供えする酒や菓子である餅を神様と人様が共食する。新年を迎えるに当たっては、日頃お世話になっている道具たちにも感謝の意を表さねばならない。車でもTVでもパソコンでもケイタイでも…身の回りのモロモロに小さな餅を供えてお祀りするわけである。バカな儂はお祭りの前半を省略してひたすらお神酒を喰い、雑煮を喰って歳を重ねてきた。これじゃあバチが当たっても仕方がない。少しは敬虔さも示さねば…と初めて反省する。餅飯は神様だけじゃなく儂にとっても大の好物。正月の雑煮はもちろん、ブラックペーパーをぐるぐる巻きにして磯辺焼きも年間を通してよく喰う。ペッタンコと搗くわけじゃない。機械作りの袋詰めを買う。水を張った器にその切り餅を入れ、チンをして搗きたて風を装い、いろんなソースを絡めてモチモチを楽しんでいる。例えば納豆・大根卸し・桜エビ・胡麻・黄粉・じんだ等々、その時用意できるものを適当に使う。

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