食用塩問題シンポジウムに参加
一九七四年五月、日本CI食用塩調査会の主催で、「専売塩で日本民族は滅びるのか」と題して「食用塩問題シンポジウム」が東京で開催された。
先ず、シンポジウム実行委員会会長の医学博士・牛尾盛保氏の挨拶があり、冒頭に化学精製塩の四つの問題点を挙げられた。
一つめは、化学塩の食用化は日本が世界で最初である。二つめは、安全性の確認が成されていないこと。三つめは、高純度(塩化ナトリウム九十九%以上)自体に問題があること(苦汁などミネラル成分が抜かれている。味覚も無ければ、漬物、味噌、醤油などにも効かない)。最後に、製造過程に問題がある。そして次のようにシンポジュウムの開催が宣言された。「最近に至り、私たちが問題としたことが現実のものとなってまいりました。私たちは、目の前に漂う黒い霧の解明のため、此処にシンポジュウムを開催します」。
続けて講演に入ったが、演題は次のようなものであった。
「精製塩について」、「塩そのふしぎな働き」、「食べものの精製」、「塩と料理」、「わが国における食用塩の変遷」。
当時、多くの国民はこの化学精製塩の問題に対して少しの関心すら持っていなかったが、このシンポジウムは、参加した多くの報道関係者や聴衆に対して化学精製塩に対する疑念を深め、自然塩復活の運動を盛り上げる強力な起爆剤の役目をはたすこととなった。
幸信は、仕事の都合でこのシンポジウムに参加出来なかったが、講演内容の資料を入手し熟読した。そして、ますます自然塩復活運動への思いを強くし、その実現を心に誓ったのである。