No.280







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●天豆(そらまめ)のカレーが好きで、毎春何度かはそれをやる。季節が変わって、今時は茄子のカレーが多い。天豆が、茄子が、如何に店頭に並ぼうとも、その本来の季節が来るまで儂はじっと我慢している。茄子が好きで(嫌いな日本人もいないと思うが)、焼き茄子(生姜醤油や鴬谷の某豆腐店の煉り味噌をつけて食う)、天ぷら、漬けもの、汁の実その他何だってOK。家で鰻丼をやる時だって、焼き茄子と焼き葱をタレに絡ませてから飯布団の上の蒲焼きに添い寝させる。茄子の漬けものを、以前は二ツ割りの斜め小口切りにしていたのだが、いつの頃からか、手で裂いて食べるようになった。切り刻んで揚げたり炒めたりして使った汁の実やカレーライスの場合も、いつの間にか手裂きのスタイルに変わった。種類は昔から食べ慣れている千両茄子が殆どだけど、水茄子ならずとも手裂き縦裂きの方が旨いような気がする。因みにエリンギィ他の茸だって、鯣だって裂いて食ってる。茄子漬けといえば畑作や鉢植えの茄子の実を糠床や塩水を入れた小袋で包み込んで、生ったまま漬け込む奴がいるとかいないとか……嘘だと思うが意味ねーだろう。▲カレーのはなしに戻る。山中の仮庵でのディナーといえば、儂の場合い圧倒的にレトルトのカレーだった。そんな訳で(いい年をして)カレーというものが全然イヤじゃない。胃が重くて食の進まぬ時でも何とかイケるから不思議だ。裂いて焼いた(あるいは炒めた・揚げた)茄子を飯の上に横たえ、ペーストを火にかけて溶いたカレーをザブザブとかけ(あるいは板チョコ状のカレーやその他のカレー、時にはレトルトものも利用してザブザブとかけ)て食う。時間に追われてる時はこのレトルト利用で取り敢えずの一食。

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