No.281







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●烏賊(イカ)の刺身をよく食らう。塩辛…じゃなくてフレッシュな肝和えもイイ。残った下足(ゲソ)は皮と吸盤(イボイボ)を取り除き、湯通しして保存しておく。それはブロッコリーや人参などの野菜と豚腎などと一緒にオイスターソースでやる中華炒めなどに加える。あるいは里芋と一緒に和風の煮物に使ったりする。時折り烏賊の詰めものを作り置く。セロリや人参や胡瓜のスティックと下足をキャベツでくるくると巻き、湯通しした烏賊の腹に捩込んで酢漬けにするのだ。取り敢えずの一杯の時の取り敢えずのひと摘まみに便利。その際に残った材料(残りものじゃなくても)を全部微塵に刻んで、鶏の挽肉などと一緒にキーマ的なカレーに仕立てる。これがまたナカナカである。
▲むかし「カレーは蛸に限るぜッ」だなんんでほざく奴がいた。何だか不気味だ。「一丁やってみるか」な〜んて全然思わなかった。以来、奴の顔を見るたびに“蛸野郎”なんていう言葉がちらついた。ある日のこと、蛸のカレーが許されるなら烏賊のカレーだって有りだろう…なんて、下足の山を前にしながら考えた。前記の〈烏賊のキーマ〉の誕生である。後々儂の密やかなオハコとなった。あくまでも内証だ。他人に話したことはない。「イカしてる〜」なんて言われたら照れるから…(古いね、石原裕次郎のセリフだよッ)。
■下足じゃなくて堂々と胴だけを使うこともある。何と呼ぶのか…中華炒め風の細かい包丁使いで処理して、しめじと称する栽培きのことか茄子とのコラボでカレー仕立てにするのだ。こちらはちゃんと料理のかたちになってる。名付けて〈烏賊(如何)様カレー・山賊風〉である。前号に続いて、またカレーばなしになってしまった…。

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