No.288







.

●生まれながらの右利きである。この原稿も手書きで、右手にペンを持って書いている。子供の頃、べースボールで遊ぶ時も右投げで、しかし打席だけは左右のスイッチが自在だった。フットボールをやっていた時は背に9の数字をつけていたのだが、左足で蹴る機会も多く、自然に慣れて、左右区別なく使えるようになった。後年事情があって(短い期間では
あるが)箸を左手に持った時期があった。直ぐに慣れて、然程違和感を持たずに使えた。暫くして元の右手に戻したから、今はやはり右手使いの方が具合いがイイ。▲食事の時に、飯碗を左側に置き汁椀は右側に置く。理屈を知らぬまま、格別疑問を懐くこともなく、その風習に馴染んできた。ところが最近、その左右を自然に置き替えて食べている自分に気付いた。「ハテナ? 何でこんな風に…」と自問する。使い勝手に優劣は無いと思う。この国では伝統的に汁よりも御飯の方が偉い(?)から左側(?)に…いや全然判らない。この国でずっと暮らしながら、そんなことすら知らなかった自分に儂は愕然とした。何だかとても恥ずかしい気がする。■決して左党というわけでは無いのだが、それでも儂は、食事の一部としての酒は欠かせない。洋式なら酒杯は右が普通なのだろうが、和式の場合いはどうか? 儂はマナーを知らぬまま、酒杯を左手に持つことが多い。左手に持つことを左利き≠ニ呼ぶのかと思っていたが、違うらしい。酒器を膳の左側に置くからなのだ…と何かで読んだような気もするけど、よく判らない。左打ちや左蹴り、左手に箸や酒杯…髪も(有った頃は)左分けだった。ただ団扇(うちわ)だけはずっと右手使いで、残念ながら未だ嘗てそれを左手に持てた例がない。

.

Copyright (C) 2002-2011 idea.co. All rights reserved.