No.289







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●「お前さん、な〜ンか間違っちゃいませんか…」と、青黒い変なカタチのタイラギの姿を見るにつけ、儂は思う。外見(殻)と中身の大きさ・形状が、凡そ似つかわしくないからだ。中身から慮れば、(たとえ分類上の「科」の違いがあったとしても)板屋貝や帆立貝と同型のもっと華やいだ殻で装い、折角美味しいのだから、檜扇(ひおうぎ)をパカッと開いて“ヴィーナスの誕生”でも気取ってみればイイのに…だなんて、つい余計なことまで考えてしまう。平貝が訛って、いつの間にか訛った方が本名になってしまったのもヘンと言えばスゴク変!

▲山賊のクセにむかし東京の一角に暮らして、鮨屋なんぞに入り浸る時期があった。貝の仲間では水松喰(みるくい)なんぞも好物で、よく摘まんだ。ある日、半端な時間に一人でふらりと入ったデパートの中の鮨店で、水松喰とは似ても似つかぬ変な貝を食わされた。ずっと後年それが波貝(通称シロミル)というやつであることを知った。今はスーパーでもソレをよく見掛ける。ソレを目にするだけでアノ時の不快感が甦ってしまい、とても仲直りする気にはなれない。

■大分前から、TVなどで×××という沖縄の地名をよく耳にしている。×××なる地名の由来は分らない。分らぬまま、×××が“放送禁止用語”に聞こえてしまい、困っている(沖縄の皆さんゴメンナサイ)。だから、ここでも×××としか書けない。タイラギの殻と身のカタチがフィットしていない(?)のがヘンならば、あの波貝も殻と身のカタチが著しく不一致である。しかもスゴク変! 言うなれば×××的なのだ。偶々だけと、それが沖縄の地名と音が重なり(重ね重ねスミマセン)、目にも耳にも儂しゃあ何だかとても具合いが悪い――。

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