京都土産の定番、銘菓「聖護院八ッ橋」。八橋検校は江戸時代前期、筝曲を極め、「六段の調べ」に代表される多くの名曲を残し、近世筝曲の開祖と讃えられ、歿後、黒谷の常光院に葬られ墓参の絶えることがなかった。それから四年後の元禄二年(1689)、琴に似せた干菓子を「八ッ橋」と名づけ、黒谷の参道である聖護院の地にて売り出した。これが、八ッ橋の始まり。聖護院八ッ橋総本店は、以来326年間、八ッ橋を製造し続けてきた。

八ッ橋とは「米粉と砂糖を合わせたものに、にっきで香り付けをしたもの」。同店はこの定義に従い、今日まで味を守り続けている。

口に入れると心地よく響く歯ごたえ。ふわりと舞う桂皮末。近年、生八ッ橋に話題を奪われがちだが、こちらが原点の味。歴史に思いを馳せながら今一度じっくり味わいたい。
聖護院八ッ橋総本店 京都市左京区聖護院山王町6
TEL.075-761-5151