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●浅蜊(あさり)・蛤・赤貝・栄螺(さざえ)・鮑・帆立貝・蟶(まて)貝・ばい貝・馬蹄螺(シッタカのこと)……その他いろいろ。改めて目を凝らせば、それぞれの貝の殻が、かなり個性的かつ美的な意匠を凝らしていることに気付く。ガサガサした独特のテクスチャーを持つ牡蛎(かき)の殻もまた、なかなか、芸術性(?)が高い。手に取って惚れ惚れ眺めるワタクシであります。貝の名を漢字で書き列ねたら虫偏の付くやつが多いことに気付いた。奴等は魚ではなく虫だったのか(?)。カキを何故〈牡の蛎〉と書くのか、ずーっとギモンだった。牡ばかりじゃ恋愛もできず、子孫の繁栄も叶うまいに……と他人事ながら心配していた。昨日、図鑑を開いてみたら、「同じ貝が(気紛れに)♂になったり♀になったり変身する(雌雄同体)のだ」と書いてあった。変な奴等だ。あっ、便利かも知れない。

▲北海道は厚岸(あつけし)あたりの新鮮な牡蛎が手に入れば大変うれしい。ガサガサの殻をガキガキと抉って開き、檸檬をキュッと絞ってツルツルと喰う。身体中にグリコーゲンがジワジワ沁み渡るのを感じる。生食いに飽きたら、次は炭火に載せ火炙りの刑に処す。こいつは檸檬と醤油を垂らしてツルリ――。

■或る日のこと、スーパーでパック詰めになった牡蛎の剥き身を買った。〈2パックで1パックの値段〉という安売りを4パック持ち帰ったのだ。大根卸しでサッと洗ってから、こいつらは全部〈時雨煮〉にした。こうしておけば冷蔵庫の中で十日ぐらいは平っちゃらだ。朝湯の後のちょいと一杯――いや時を選ばずの「ちょい風呂・ちょい一」をやるのにも格好のお摘まみとなる。もうすこし手間と暇をかけて〈燻製〉に仕立てると、もっともっと宜しいのです。

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