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●ママチャリに跨って、近くのポストへ郵便を落としに行った。帰り道、八百屋の前を通りかかると、路上にはみだしたダンボールの列に人だかりがしていた。野次馬心に目覚め、自転車(チャリ)を止めて覗き込んだ。隣り合わせた<昔のギャル>から、「どれも10 円よッ」と濁声で教えられた。胡瓜やピーマンが10円なのは解るとしても、大きなキャベツ・白菜・大根までが一つ10円とはオドロキだった。傷物とか鮮度落ちじゃない。ごく普通の品だ。売る方がヤケクソなら買う方だってヤケクソである。コーフンした私は、ブナシメジをダンボールの箱ごと買い占めてしまった。

▲箱買いしたキノコなど(冷静になれば)始末に窮する。先ず四半分を、「持って行けよ」と来客に押しつけた。後は、連日連夜<シメジ百珍>に腐心する(ウソだ。精々十珍前後だった)ことになる。まだまだ沢山残るやつを放置できないから、大きめの広口瓶に詰め込んで酢漬けにした。色合いが寂しいので、黄色の菊花をバラして交ぜてやったら、なかなかの仕上がりになった。

■酢漬けばなしをもう一つ。いつぞや、薄くスライスした白い蓮根を赤葡萄酒に漬けて染めてみたが、イマイチ面白くなかった。今回は(蓮根の穴からの連想で)発作的に干葡萄と一緒に、酢に漬け込んでみた。干葡萄の複雑な甘さが、ちょうどイイコロカゲンに蓮根の穴に絡まって、思わずニンマリ。〈シメジ+菊花〉と〈スライス蓮根+干葡萄〉――このすっぱい二品の常備菜が、焼物などの付け合わせや、酒の友に小鉢をもう一つ……なんていう時になかなか重宝している――という、山賊亭からのお知らせであります。


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