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「二歳前の息子を連れて、二人でタイ旅行に行こうかな〜」と言ったら、友人たちにビックリされた。「え〜っ。タイって汚いんじゃないの? 危ないんじゃないの?」
この反応には、私の方がビックリ。みんなそんな風に考えているのか。東南アジア各国を旅した我々にとって、タイは特に清潔で安全な先進国というイメージなんだけど。ちょうど夫が海外出張中だった時、軽い気持ちで言ったのだけど、そんな反応が返ってくるとチャレンジしたくなるのが私の性格。
「よし、本当にやってみるか。」と、出張中の夫にメールで相談してみると「いいんじゃない?」とあっさりOK! そうそう、安心できる理由がもう一つあった。夫の両親が三年ほど前からタイに移住して年金生活を送っているのだ。夫の留守中に義父母の家に孫を連れていくなんて、何て親孝行な私。思い立ったが吉日、実行あるのみ。
「よく来てくれたわねえ。」空港で出迎えてくれた夫の両親は、真っ黒に日焼けしていて、服装もエスニックですっかりタイ人化していた。遠来の孫は、当然のVIP待遇。義父母の住むジョムジンビーチまでタクシーを使って一時間。なんと道をゾウが歩いているのを目撃! それも一頭でなく、何頭も。乗ゾウのできる施設が多いんだって。
近くの動物園で、改めてゾウとご対面。龍は大きなゾウが怖いらしい。係のお兄さんが一番ちっちゃな子象に乗せてくれたけど、完全に凍り付いていた。なんとトラにも触れる。これがタイのおおらかさ(いいかげんさ?)。 |
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ココナッツジュースにニコ〜
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ところで、肝心の料理の話。タイは通算五回目。基本はトムヤンクンを始めとしたスパイシーなおかずに麺類、それからチキンや魚の炭火焼きにナンプラー(魚醤)をたっぷりかけたものが常識と思っていた。それは、貧乏旅行で屋台飯&安食堂が中心だったため。しかし、今回は幼児同伴、義父母も一緒。珍しく
“屋根のある”まともなレストランに入った。ヤシの木陰、海風が吹き抜けるビーチに面した席に座り、刺激が少なそうなメニューを頼む。「カニのクリーム煮」が何とパイナップルを丸ごとくり抜いた器に入ってきた。ココナツジュースを頼んだら、子どもの頭より大きなヤシの実が丸ごと目の前にデーン!
果物も豊富だ。ライチに毛がはえたようなランブータン、パインをとろーりと甘くしたようなジャックフルーツ、グレープフルーツよりひとまわり大きくてとびっきり美味な柑橘類、ソムオー。これなら安心して幼児も食べられる。でも、必ず付いてくるのが、チリパウダーとグラニュー糖をまぜた専用スパイス(笑)。西洋人向けのメニューのつもりなのだろうが、サラダもピラフもナンプラーがついてくる。
そういえば、西洋人のバックパッカーに「代表的なタイ料理って何?」と聞いたら「パンケーキだ」という笑える答えが返ってきたことを思い出した。同じ土地に行っても、訪れる人・時期によって、全然違うイメージになるんだなあ、と改めて気づいた。見たものも、食べたものも、今までとかなり違う、新鮮な旅だった。
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これまで“その土地のものが一番旨い”をモットーに、行く先々でローカルフードを探求しました。食事こそが“ところ変われば品変わる”ものと確信していたのです。しかし最近になって、ハッ!と気がついたことがあります。それは“時が変われば…”“一緒に行く人が変われば…”という新事実です。息子のおかげで旅の行き先もスタイルも大きく変わりました。また同じ土地でも全然違う体験ができるということがわかったのは最高の収穫です。この夏には、更に家族がもう1名増えることになりました。彼(彼女)がまた、我々にどんな世界を見せてくれるか楽しみです。
ご意見・ご感想をお寄せ下されば大変嬉しく思います。更なる新しい世界が広がることを祈りつつ。
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