今年の春は例年に比べると、かなり暖かい感じがした。それが作用したものか、植木屋さんの手入れがよかったのか、玄関の入り口の梅の木が見事な花を咲かせた。我が家に来てからかれこれ五十年は経っているだろう、先代の植木屋が運んで植えた時から相当な太さであったから、優に百年は超えているだろうという古木である。
この梅の木、毎年三升程度の実を付けて呉れるのだが、消毒ということは一切しないから、実る頃になると黒い胡麻粒のような斑点が出来たりで、余り食用にはならないものであった。が、過去に数回、きれいなものだけを収穫し、三十五度の焼酎に梅の実とほぼ同量の氷砂糖と漬け込んだら、忘れた頃にかなりおいしい梅酒となっていた。
さりとて、余り梅酒を好まないので、梅の実が熟れた頃に気が付けば漬けるという、非常に曖昧な扱いをし続けている。だが、一昨年の夏に、梅の木の周りの雑木の枝払いをしっかりと施してもらい、更に昨年の秋口に梅の剪定をきちんとして貰った。これが、見事な花を咲かせた大きな要因ではなかろうか。
数日前に梅の木をつぶさに見ていたら、かなりの数の梅の実がなっていることを確認した。本来なら、この時点で少し消毒をしたり、もう少し実が大きくなったところで摘果してやると、それはそれは見事な梅が育つに違いない。が、消毒だけはする気にならないし、摘果する方法も知らないし気力もない。それでも、今年は数が多そうだから、ひとつ梅干しに漬け込んでみようと目論んでいる。
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