どうやら今年の夏は、家庭菜園をやっている者にとって最悪のシーズンであったようだ。雨が少なく、カンカン照りが続くと野菜は忽ちにして萎れてしまう。この自然現象の猛威には、プロの農家の方々もさぞかし頭を抱えて居られることであろう。水を撒くのもよい方法だが、畑まで水道を延すのも大変だ。それに、中途半端に灌水の癖を作物に与えると、植物に妙な癖がつき自立してくれないような気がする。
昨年は昨年で、雨ばかりの気候でやはり庭の作物は壊滅状態であった。あ、そうそう簡単に作物が育つのであらば、農業に従事されている方々の面目が立たなくなってしまうのではあるまいか。そう思い、自分を慰めているのである。が、誰にでも手軽に育てられる筈の唐辛子が、今年は全滅に近い状態なのである。自慢ではないが、世界中の唐辛子の種を集めて、ガーデニング気分で育てていた。約四十種類くらいはあっただろう。それが、辛うじて五、六種類しか生き残っていないのだ。
正直なところこの危機感、夢にまで出て来る始末。勝手に東京チリクラブ会長とか日本チリクラブの会長と嘯いていたのだが、今年は大法螺も吹けない有り様だ。それより困るのが、鮨屋に持ち込んでハケのタレに刻み入れて貰い、ピリッとした鮨が味わえないのが口惜しいし、ステーキを食べる際醤油に添えることも適わず、悶々としている有り様なのである。
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