「桔梗信玄餅」で知られる、山梨県を代表する和菓子の名店《桔梗屋》の刀の鍔をかたどった、昔ながらの丸い「きんつば」である。

北海道産の大納言を煮込み、甘さを抑えて上品に仕上げた小倉餡を小麦の薄皮で包み、風味豊かなごま油を敷いた銅板で丸い形に焼き上げられている。

同社は明治22年(1889)、甲府市内で開業し、若松町の桔梗屋として親しまれていたが、店は旧市内の外れに位置していたため、和菓子屋として京菓子のような高級菓子よりも、誰にでも愛される和菓子の一つとして、一年中食べられる「きんつば」を主流に菓子作りを行っていた。

その当時から「きんつば」は人気が高く、市内のみならず近郊の町の人々までその名は知れ渡っていたという。当時の味や形を再現し、復活させたのがこの伝説の「丸きんつば」である。あんこの美味しさと、きんつば特有の香ばしい風味が楽しめる。
■写真提供:《桔梗屋》山梨県笛吹市一宮町坪井1928
TEL.0553-47-3700(代)