《東學坊》は慶長5年(1600)創業。神奈川県伊勢原市にそびえる霊山・大山に創建された大山阿夫利神社の宿坊として、古来より参詣客に供した精進料理は、後に御坊料理と呼ばれ名物となった。30年ほど前には現在の18代目当主・相原直樹氏が豆腐料理のフルコースを創製。大山で唯一自家製豆腐を使う宿として、独自のメニューを開発し続けている。

写真は「鈴の膳」夏のコースから。左の升は、厳選した国産丸大豆と伊豆大島の本にがりだけを使った大山豆腐の〈季節鉢〉。上は〈お造り〉、豆腐を芯にし鯵の身と南高梅を海苔で巻いたオリジナル料理“鯵の磯辺巻き”と、トロッとした食感の生湯葉、鮪の刺身。右のグラスは、大山豆腐と百合根を蒸し上げて冷し、飛子と青紫蘇をあしらった〈冷しむし〉。下は〈涼風豆腐〉、豆乳と山芋のすり流しを寄せ、オクラのつゆでさっぱりと仕上げてある。

先頃『湧水工房』を開店、定評ある自家製大山豆腐、生湯葉、にがり水などを販売しており、持ち帰りや地方発送も承っている。

■写真提供:《東學坊》
伊勢原市大山437
TEL.0463-95-2038