商売人にとって「冬」という文字は禁句である。12月はと言えば「春隣り」「春待月」等とする。そして1月は新春である。

今回は「春の走り」と名付けた献立である。会席料理をこの写真に託してみた。料理を真横から見る事はない。あえて、真横からのぞいてみた。全く新しい世界があるのではと。

六本木桜庵の廊下は土である。京都の「深草」という土を敷き固めた。土は足の裏に安らぎを与える。柱、天床には、世界中の木材から、しぶい色のある木材を集めた。

桧、杉というパターンにしばられたくなかった。自然が生み出したものは、日本に限らずすばらしいものである。

「先付」 養老羹 アボカドサーモン巻 黒豆
「前肴」 いくら真砂あえ いか鱧子あえ
瓢玉子 穴子八幡巻 巻えび黄身包み
「吸物」 男爵と南瓜のすり流し
「造り」 鮪 鯛 車えび
「焼物」 甘鯛若狭焼 唐墨大根
「煮物」 加茂茄子べっこう餡かけ 
「揚物」 海老しんじょう ワタリ蟹爪揚げ
「酢の物」ずわい蟹
「食事」 手綱寿し

■解説・写真提供:六本木《桜庵》
港区六本木6-1-12 六本木アサノビル2・3F
TEL.03-3479-0023