《天ぷら魚新》は昭和54年(1979)、六本木に開店。明治23年(1890)赤坂に創業した鮮魚・仕出しの《魚新》が初めて手掛けた飲食店として、長年好評を博してきた。一昨年にコレド日本橋4階へ移転、名店ひしめく界隈に在って、定評の変わらぬ美味を求める客が、昼夜引きも切らず暖簾をくぐっている。
食材の仕入れは主として築地だが、三浦半島や、西の方からも航空便で取り寄せる。油は、極上胡麻油とコーン油を二対一の割合で合わせ、これに一度使った油を冷まして少量注す。魚や貝の旨味が溶け込んでいるので、新しい油にこくが付き、熱の反応、ねたを入れた時の反応もこなれて良いという。
夜はコースがメーンだが、ランチは手軽な丼物が人気。中でも同店の看板商品が『天ばら』で、芝海老、あおり烏賊、小柱、三つ葉のかき揚げに塩を振り、ご飯とよく混ぜて食す。季節の美味いかき揚げを、最小限の味付けで味わうには、熟練の技が欠かせない。
江戸の美食を味わいに、日本橋へどうぞ。

■解説・写真提供:《天ぷら魚新》
中央区日本橋1-4-1コレド日本橋4F
TEL.03-5205-7661