愛知県は渥美半島、伊良湖岬に程近い福江港を臨む地に建つ《和味の宿 角上楼》は昭和元年に創業。三方を三河湾、伊良湖水道、遠州灘と、それぞれ特徴ある海に囲まれ、自然に恵まれた環境である。同宿は旬の天然地魚をふんだんに使った『角上楼風海浜料理』が評判だが、中でも人気の一品がオリジナルの名物料理『桜鯛の魚しゃぶ』である。

一番脂がのっている時期の鯛を、皮付きのまま薄造りにする。鍋に焼いた鯛の骨と、最高の真昆布を前日から浸した昆布出汁を入れ火に掛け、沸騰寸前に薄削りを加え漉し、薄口醤油と水塩で味を調える。この出汁を土鍋で沸かし、白髪葱を山の様に入れ、その上に薄造りを並べ、軽く火が通ったところで皿に取り、胡椒を振って食す。冬場は平目、二月は鰆、六月は鱸、九月には間八と、四季それぞれの旬の地魚で味わうことができる。

写真は通常料金の宿泊コースで供される料理で、左は上から『鯵の揚げもの』、『焼きふぐ』、口取りの『八寸』である。
写真提供:《和味の宿 角上楼》田原市福江町下地38
TEL.0531-32-1155