奈良朝時代から名湯として都にその名を知られた長野県松本の美ヶ原温泉。民芸のお宿《すぎもと》は、江戸時代には城主別荘として栄えてきた「御殿の湯」の中央に位置し、中庭から源泉が湧出している。

すべて作りが異なる部屋は、檜風呂付和室、民家風囲炉裏付板の間など全17室。庭園風露天風呂、檜家族風呂などの温泉は、無色透明、弱アルカリ性単純泉で滑らかな肌触りが特徴。樹齢500年の栃の木のバー「ひびき」、草庵茶屋「かぐや姫」、ツリーハウス「登夢創屋」などの空間は遊び心を満たしてくれる。この夏にはジャグジースパ「ジェットストリーム」もオープンした。

同館の夕食は、はじめに地の山菜のおひたしや佃煮の小鉢が並ぶ。表紙は、あみたけ、りこぼう、うしびて、香茸、虚無僧茸である。それに、アケビの皮味噌和え、鮎の甘露煮が並ぶ。どれも名前を聞くのも、食べるのも初めてという方が多いだろう。これだけでも食事の話題に事欠かないが、食事の締めに、主人が打つ信州産の粉を用いた同館の名物の十割手打ちそばがある。1日10枚の限定である。

■写真撮影:《すぎもと》松本市里山辺451-7
TEL.0263-32-3379