日本の鮨文化を大きく二分する、江戸前の「にぎり鮨」と上方の「おし鮨」。『登録商標 小鯛雀鮨(こだいすずめずし)』は、後者を代表する逸品である。

《小鯛雀鮨 鮨萬》は承應2年(1653)創業。魚屋を営む傍ら商った「雀鮨」は、元々は褐色をした江鮒(ボラの子)の鮨で、魚の腹がふくれ、ヒレやエラをピンと張ったすしの形が、ちょうどスズメの姿に似ていたことからその名がついたという。後に、これを京都御所へ献ずる機会に恵まれ、材料を吟味し、小鯛の二歳もので作り替えた「雀鮨」を献上したところ、大評判となった。これが、今も愛される味、『登録商標 小鯛雀鮨』の原点である。

材料は瀬戸内海産小鯛を使い、米、昆布、酢なども吟味、舎利(しゃり)は今もなお薪で炊飯と、昔ながらの製法で味を守り続けている。
淡い桃色の美しい姿も、さっぱりとして深い味わいも、まさに芸術品。350年の伝統を、目で、舌で、じっくり楽しみたい。

写真提供:《小鯛雀鮨 鮨萬》大阪市中央区高麗橋4-5-11
TEL.06-6231-1520(代)