和菓子の打物(うちもの)らくがんには、金沢の長生殿をはじめ古くから名品が多く、主原料ももち米をはじめ、あずき、大麦などの穀物が用いられている。

「方寸」は、明治26年(1893)にこの地で創業した竹風堂初代が、「信濃落雁」として創製したもので、地元産の赤えんどう豆を用いたところがユニークである。(今は北海道産)

戦後に名称を「くり楽」と改称したことと、ほかに栗羊羹や栗かの子といった純栗製品があることから、「栗が原料のらくがん」との誤認が広まったため、創業100年を期に平成4年(1992)「方寸」と改称された。一寸四方を方寸というが、昔の人は、心は胸中一寸の心臓に宿るとしたところから「人のこころ」を表す意も。

無添加、無着色である上に、きめ細やかな舌ざわりとパリッとした香ばしさの「方寸」は、赤えんどうとは信じ難い高雅な味として茶道各流のご愛顧はもとより、日産6万枚のうちには幼い子たちの熱い支持も少なくない。

写真提供:《竹風堂百庵》
長野県下高井郡小布施町973
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