山に囲まれた会津盆地は、山菜の宝庫。「元祖輪箱飯(わっぱめし)」で知られる会津の割烹料理店《田季野》は、珍しい山菜など自然の旨味を生かした会津料理が楽しめる。表紙の写真は、この時期には珍しい山菜が楽しめるコース料理の一部である。

中央の四角い皿には、『合鴨ロースに椎茸の焼き物』。その手前は、チーズケーキのような味がする『地鶏の卵のカステラ』。右の貝殻型の器には、『貝柱の焼霜造り』、『わらびの子ガツオまぶし』、山菜の『つくし』と『えら』、『えら』は会津地方の呼び名で、正式には深山(みやま)イラクサといい、山奥に自生する。葉や茎に細かいトゲが生え、刺さるととてもかゆい。板ずりしてトゲを除いて料理する。山のカツオブシといわれるほど味がよい。奥の黒椀の中は、手前から『海老の芝煮』、『筍の土佐まぶし』、緑色のものは会津では「どは」または「どーな」とよぶ山菜で、特有な香りを持つ。因みに、このお椀は、上にあんをかけ、あんかけにして食べる。五月の会津は、桜が満開である。花見がてらに山菜を楽しみたい。

■写真提供:《田季野》
会津若松市栄町5-31 TEL.0242-25-0808