三方を海に囲まれた愛知県渥美半島。西岸は穏やかな三河湾、東岸は黒潮洗う太平洋で、年間を通じ温暖な気候である。

その半島の先端にある福江港近くに建つ《和味の宿 角上楼》は、昭和元年創業の割烹旅館。本館玄関や松や欅(ケヤキ)の一枚を用い磨き上げられた廊下や階段など、創業当時の姿をとどめている。ぬくもりを感じる木の館は、穏やかな時間と安らぎを演出してくれる。
さらに、ご主人の考える「新しい昔ながらの日本の宿」をテーマに、四年前、新館「雲上楼」と「翠上楼」も加わった。

「天然とらふぐの宿」として知られるが、自然環境に恵まれたこの地ならではの美味多彩な食材が四季折々に楽しめ、秋から冬に向かうこの時季は魚貝が一段と美味しくなる。
写真は、秋の献立の一例である。四角い器に盛られているのは、鰆(さわら)の平作り、本みる貝、伊勢えび、太刀魚、鯒(こち)のお造り。左は、鯵のたたき。手前の黄色い器は、松茸、明石えび、栗いがづくりの秋の吹き寄せ。そして鱧と松茸の土瓶蒸しである。
■写真提供:《和味の宿 角上楼》田原市福江町下地38
TEL.0531-32-1155