ボリュームたっぷりで美味しいというのが定評の《神田きくかわ》のうな重である。創業者の葛岡米次郎氏は、終戦直後、お客様に心ゆくまで味わってほしいとボリュームたっぷりのうな重を作り、さらに健康を考えてタレに蜂蜜を使うことを考案した。二代目洋右氏もまた、お客様に美味しかったと満足して頂ける蒲焼つくりに情熱を傾けた。この二人の心意気がこの店の人気の原点である。

東京・世田谷の上野毛店に入荷した活きうなぎは、一旦井戸水の立て場で身を整え、毎朝、神田店、日比谷店にも配送される。鮮度を心がけ、その日のうちに使い切るという。各店では熟練と丁寧な手作業により、まろやかでコクのあるタレでふっくらと香ばしい蒲焼が焼かれる。

うなぎをよく食べるのは、夏の土用が知られるが、本来、脂がのって一番美味しくなるのはこれから、秋から冬にかけてである。来年三月には古民家を移築した御殿場店の開店が予定されている。

《神田きくかわ》 TEL.03-3251-7925(本店)
東京都千代田区神田須田町1-24-2