大阪は北の梅田新道、近松門左衛門の「曽根崎心中」で知られるお初天神の近くに、創意工夫のもと生み出した風雅な変わりそばで知られる《瓢亭》がある。「夕霧そば」は、初代主人の林芳郎氏が「麺処大阪に恥じない名物蕎麦を」との思いから作り上げ、今では同店の看板そばになっている。

「夕霧そば」の名は近松門左衛門の「郭文章」の夕霧太夫と、柚子きりをしゃれたもの。細かく下ろした柚子の上皮を、真っ白な一番粉に混ぜて念入りに打った独自の柚子きりそばである。そば粉は実の中心部のみを石臼で挽いた更科粉。柚子は、徳島、高知産で毎年収穫期の11月に、1年分を手作業ですり下ろす。つゆは返しを作らず、まず生だしをとる。鰹節、宗田鰹、鯖干しを煮込み、濃口醤油、砂糖、味醂を加え味を調える。この変わりそばは、そばの淡白な味と柚子が持つ優雅な香りがマッチして、気品さえ漂う。なお、この「夕霧そば」(だし付き)は、全国発送できる。

《瓢亭》大阪市北区曽根崎2-2-7
TEL.06-6311-5041