口に含めばトロリととける口あたりの柔らかさ。天和元年(1681)創業の《松翁軒》は、この長崎カステラの特徴を創り上げた元祖。330年以上作り続けられている代表的銘菓『カステラ』と、明治中期に創製された『チョコラーテ』である。

材料は、保水性に優れた専用小麦粉、鮮度・味・黄身の色までを厳選した島原半島の契約農家直送の卵、糖度が高いザラメ、色良く甘味に濁りが無い国内産の餅米飴。季節や温度などで材料の準備から焼き方に至るまで製法が微妙に異なってくるため、卵割りから焼き上がりまでを、熟練の職人が一人で担当。効率とは無縁、手間を惜しまず、一人一つの釜で一枚ずつ丁寧に焼き上げ、しっとり、ふんわりとした長崎カステラが出来上がる。

ポルトガル人がもたらした南蛮菓子は、長崎の職人のたゆまぬ研鑽により、日本を代表する名菓として受け継がれている。

■《松翁軒》 TEL.0120-150-750
長崎市魚の町3-19