日本海から3キロ内陸にある新潟・村上の町では、他の地域にまねのできない発酵環境がある。

村上の塩引き鮭は、村上独特な風土の中で、約1ヵ月もの時間をかけてじっくりとアミノ酸発酵し、熟成させる。この地域だからこそ生まれる発酵が旨さの秘密である。塩引き鮭は1カ所に何度も、丹精込めてくり返し塩を引き、いい塩加減に仕上げる。その後、4~5日から1週間塩漬けにして、真水で洗い、北西の冷たい風にあてながら3週間ほどじっくり陰干しで吊るす。その過程で鮭の持つ消化酵素が働き、熟成することで特別な旨みとなる。

表紙はこの『塩引き鮭』を使った茶漬で、旨みが溶け出して独特な香味が口中に広がる。右は独自の製法により、低温でじっくり仕上げた『鮭の生ハム』である。口の中にふくよかな味わいが広がる逸品である。
■味匠 喜っ川 新潟県村上市大町1-20
TEL.0254-53-2213