“口に含めばトロリと溶ける、口あたりの柔らかさ”これが長崎カステラの特徴だが、その元祖が天和元年(1681)創業の《松翁軒》である。
厳選された素材をその日の天候に合わせてひと釜ずつ焼き上げる『カステラ』は、創業以来受けつがれる職人による手焼きならではのまろやかで繊細な味わい。
今月の表紙『五三焼カステラ(ごさんやきかすてら)』は、卵黄を増やし、その分卵白は減らし、砂糖も増量して、生地のしっとり感をより濃くかもし出した長崎カステラの秀作。この綿のように柔らかく、しっとりきめ細やかなカステラを焼けるのは、同店の数多くの熟練職人の中でも数名という。名の由来は江戸時代の「五味(ごみ)かすてら」という一ランク上質のカステラから。
ちょっと贅沢なティータイムに、進物・季節の挨拶にも、三百余年続く手焼きの逸品をぜひどうぞ。
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