八橋検校(やつはしけんぎょう)は江戸時代前期、筝曲(そうきょく)を極め、近世筝曲の開祖と讃えられた。歿後、黒谷の常光院には墓参が絶えず、四年後の元禄二年(1689)、検校の遺徳を偲んで琴に似せた干菓子を「八ッ橋」と名づけ、黒谷の参道である聖護院の地にて売り出した。これが、八ッ橋の始まりという。

《聖護院八ッ橋総本店》は、以来330年間、八ッ橋を製造。さらに昭和中期にはつぶあん入り生八ッ橋「聖(ひじり)」が誕生、いずれも代表的な京みやげとして愛されてきた。

「米粉と砂糖を合わせたものににっきで香り付けをしたもの」という八ッ橋の定義を守りつつ、冷しても食感はそのままに納涼の味わいを楽しめるよう、従来の原料に寒天を加えた生八ッ橋でレモン餡を包んだのが今月の表紙『聖 聖涼レモン』である。夏らしい爽やかな風味と食感で夏の涼みにお楽しみを。

■聖護院八ッ橋総本店
京都市左京区聖護院山王町6
 TEL.075-761-5151