江戸時代前期に筝曲を極め、『六段の調』に代表される多くの名曲を残した近世筝曲の開祖と讃えられる偉大な音楽家「八橋検校(やつはしけんぎょう)」。貞享2年(1685)、京都で没し、“黒谷さん”と呼ばれる金戒光明寺に葬られたが、遺徳を偲ぶ人々で墓参が絶えなかったため、検校を悼み琴に似せた菓子を「八ッ橋」と名づけ黒谷さんの参道で売り出した。それが京銘菓『聖護院八ッ橋』の始まりとなった。《聖護院八ッ橋総本店》は元禄2年(1689)の創業以来、この八ッ橋一筋に歩んできた。

八ッ橋とは「米粉と砂糖を合わせたものに、にっきで香り付けをしたもの」。同店はこの定義に従い素材を厳選、味を守り続けている。

口に入れると心地よく響く歯ごたえ。ふわりと舞う桂皮末。長い歴史に思いをめぐらせながら、ゆっくり噛みしめたい。

聖護院八ッ橋総本店
京都市左京区聖護院山王町6
TEL.075-761-5151