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茶祖・千利休があるとき、門弟に七つの楽焼の茶碗から好きなものを選ばせると、手もとに赤楽の茶碗が一つ残った。利休は翌年の実りを願い、木に一つだけ残す木守りの柿にたとえ、これを「木守」と名付けた。この茶碗は後に高松藩松平家に献上されたが、関東大震災の折に粉砕。残った一片を入れて復元された。
高松の菓子舗《三友堂》2代目・大内松次氏が、この悲運の名碗の復活を祝い、昭和初期に創製したのが銘菓『木守』である。麩焼き煎餅の間に柿羊羹をはさみ、上に木守茶碗の高台の渦巻きを焼印で押し、和三盆の蜜を塗った一品は、豊かな風味と和三盆糖のやさしい甘みが印象的。
《三友堂》の名は明治5（1872）年、武士仲間三人で創業したことに由来。それから5代、今年、めでたく創業150周年を迎えた。
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