明治末創業、名古屋・錦《いば昇》の鰻の『丼』である。いば昇=『櫃まぶし』の印象も強いが、甲乙つけ難い『丼』の魅力を、焼き場に立つ六代目の「旦那さん」と、客席を担当している「おくさん」に伺った。

「名古屋めしとして櫃まぶしが有名になりましたが、以前は丼、長膳(長焼とご飯)が主流でした。地元や常連の方には今でも人気の一品です。ご飯にタレをかけ鰻をのせたシンプルなもので、細かく刻んだ櫃まぶしよりも一切れが大きく鰻の風味もしっかり味わって頂けます」と旦那さん。

鰻は蒸さずに焼く関西風だが「焼きを濃くする」ところがこだわり。タレに二度付け焼きするなど、炭火で照り良くカリッと焼き上げる。

「丼の魅力は何といっても、あつあつなこと。お客様があつッ、あつッといいながら丼をほお張る姿をみるのが私の幸せです。“中詰め”といって、ご飯の間にもう一段鰻を挟んだ上丼も人気です」とおくさん。
“あつあつ”をぜひ一度。

■いば昇
愛知県名古屋市中区錦3-13-22
TEL.052-951-1166